専門疾患

ぶどう膜炎

ぶどう膜炎とは

ぶどう膜というのは、虹彩、毛様体、脈絡膜の3つの組織をまとめた呼び方です。ぶどう膜は眼球の中にあり、褐色のメラニン色素と血管の多い組織です。ここで炎症が起こる病気をぶどう膜炎といいます。虹彩、毛様体だけに炎症が限局している場合を前部ぶどう膜炎または虹彩毛様体炎とよび、網膜と脈絡膜の炎症を網脈絡膜炎または後部ぶどう膜炎とよび、眼球全体に炎症が起こっている場合を汎ぶどう膜炎とよびます。

ぶどう膜炎の症状

眼のかすみ(視力低下)

炎症によって前房や硝子体が混濁するために起こる症状です。

飛蚊症

硝子体の中に混濁があるときの症状です。

結膜(白目)の充血

虹彩、毛様体の炎症が強いときに見られます。

眼の痛み

炎症が強いときや、眼圧が上昇したときに見られます。

物が歪んで見える、小さく見える

黄斑付近の網膜に浮腫があるときに起こる症状です。

ぶどう膜炎の原因

ぶどう膜炎のなかにはサルコイドーシス、原田病など、50種類以上のものがあります。また、このような病名の病気にあてはまらないぶどう膜炎の患者さんも少なくありません。原因としては大きく感染による感染性ぶどう膜炎と、自分の免疫システムに異常を来たすことにより生じる非感染性ぶどう膜炎に大別されます。感染性ぶどう膜炎は細菌、真菌、ウィルス、寄生虫などによって引き起こされます。原因によって使用する薬も異なります。非感染性ぶどう膜炎には、サルコイドーシス、原田病、急性前部ぶどう膜炎などがありますが、糖尿病、腎臓病、関節リウマチ、膠原病など全身疾患の部分症状として出てくることも多いです。そのため、診断を確定するまでに何回も検査を受ける必要があったり、場合によっては眼科以外の科を受診していただくこともあります。しかし、このような努力にも関わらず、原因がわからないことも多くあり約40%のぶどう膜炎患者さんが原因不明です。

原田病 - ぶどう膜炎

原田病

サルコイドーシスの雪玉状硝子体混濁 - ぶどう膜炎

サルコイドーシスの雪玉状硝子体混濁

サルコイドーシスの豚脂様角膜後面沈着物 - ぶどう膜炎

サルコイドーシスの豚脂様角膜後面沈着物

ぶどう膜炎の治療

一般にぶどう膜炎は数日で治る病気ではなく、慢性化することも少なくありません。ぶどう膜炎が治るのには、早くて数週間、数か月間、あるいは数年間、ときには何十年にもわたって続くこともあります。治療は炎症がどの部位にあるかによって変わります。炎症が前眼部のみの場合には、点眼治療が中心となります。ステロイド点眼や非ステロイド系抗炎症薬の点眼、抗生剤の点眼を使用します。炎症が強い場合には眼の結膜にステロイドの注射を行ったりする場合もあります。炎症が網脈絡膜に及んでいる場合には飲み薬や点滴を使用する場合があります。使用する薬は病気の種類や状態によって異なりますが、ステロイド、非ステロイド系抗炎症薬が中心となります。微生物(細菌、真菌、ウイルスなど)の感染によるぶどう膜炎では抗生剤、抗真菌剤、抗ウイルス薬が中心となります。炎症の持続により、黄斑上膜、網膜剥離、緑内障、白内障などの合併症が起こる場合があり、それらに対する薬物療法や手術加療が必要になる場合もあります。

ぶどう膜炎の再発性と合併症

ぶどう膜炎には『再発性』があり、『合併症』がよく起こります。長期にわたる治療が必要になることも多くあります。患者さん自身で気がつかないことも多く、症状に応じて適当な間隔で受診し、炎症の状態、眼圧、その他の異常などがないかどうか、定期的に検査を受けて下さい。

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